宋 和映(55期pf)

短信

たくさん学んで、帰ってきました!

二年ぶりに日本へ帰ってきました。フランスとは何もかもがあまりに違うので、初めの十日間は、カルチャーショックが大きく、以前とは全く違ったふうに見えてきました。ですが、今はもうすっかり馴染みつつあります。

今年上半期は色々なことがありました。パリ・エコールノルマル音楽院高等演奏課程の卒業試験は、年々厳しくなっているらしく、今年最終的に合格したのは、80余名中9名のみでした。今年はフランソワーズ・ティナ(Françoise THINAT)先生に師事しましたが、彼女は80歳を超えるご高齢でありながら、とてもパワフルでよく弾きよく喋り、機知に富んでいて温かく素晴らしい先生で、凄く熱心に、音楽のことに限らず様々なことを教えてくださいました。お蔭で六月末日まで続いた長い試験に合格でき、安心しておりました。

今年三月末からは、ある大バイオリニストのご姉妹が所有なさっている、フォンテーヌブロー付近にあるお屋敷で、少しお手伝いをしながら住まわせてもらっていました。そこではコンサートホールもあり、各国の著名な音楽家たちが毎月来ては、交流がありました。私がフランスから帰国する間際には、パーティーで偶然知り合った、ラヴェルの直弟子で有名なピアニスト、ヴラド・ペルルミュテールの愛弟子である岡崎順子さん(ラヴェル作品のペルルミュテール版{音楽之友社}編集者で、私が論文を書くときも参考にしていました)に、彼女のリサイタルやご自宅に招かれ、 お茶や彼女の素晴らしい手料理を楽しみながら、ペルルミュテール先生の話も沢山伺い、彼女がペルルミュテール先生から譲り受けたピアノを弾いたり、ラヴェルを沢山聴かせてもらったり(他に聴けることのない、実に素晴らしく胸躍る演奏でした…)などして、心からの歓待を受け、フランス音楽の真髄に触れられて、お蔭で本当に幸せな気持ちで帰ってこれました。こんなふうにして、フランス留学中には、沢山の人たちに恩恵を受け、貴重な経験を積むことができました。

3月初めは、恩師のティナ先生が監督なさっているオルレアン国際ピアノコンクールに、手伝いをしに行っていましたが、そこで二十年ぶりに、ドイツ・カールスルーエ音大のハン・カヤ先生に再会し、お世話になりました。そしてとても嬉しいことに、彼女が開催している11月の生駒国際音楽祭に、ティナ先生が初のフランス人教授として招聘され、私は彼女の通訳として参加させていただくこととなりました。 先生はピアノを通して、フランス伝統の文化を学ぶ上で大変貴重な存在であると思っております。ですから、将来フランス留学を志す後進たちや、フランス音楽、文化に興味を持っておられる方たちに、この機会にぜひ知ってもらいたいと願っております。

私は今、ここで新たに活動を始めだしたばかりですが、これから、演奏したり、教えたりしていく上で、今まで経験し、学んできたことを十分に役立てていけたら、と思っております。

 

2014年8月7日 宋 和映(55期pf)

 

*写真1 フランソワーズ・ティナ先生宅にて、お別れの日に。プレゼントのショールを気に入ってもらえました。

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*2 岡崎順子さん宅にて、ラヴェル作品を演奏してくださる順子さん。

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*3 帰国後初のデュオ・コンサート(8月16日守口市ムーブ21にて)。デュティユー:ピアノソナタ、姉の宋 和純(向かって左)とラヴェル:「スペイン狂詩曲」から“祭り”など。

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