[Papa Column] 歌唱力の客観的評価

ご無沙汰しております、第3回のパパコラムです。今回は、「歌唱力の客観的評価」というテーマです。

まず最初に、私は音痴で、音程がずれていることに自分では全く気づきません(涙)。結婚するまで音楽とは無縁の人生を歩んできましたから。以前テレビで、関ジャニのカラオケ対決を見た時に、よくこれだけ上手に歌えるものだと感心したものです。番組では最後にスコアが表示されて勝敗が決まります。このスコアってなに?ってことで調べてみました。

歌唱力の客観的な指標として、Singing Power Ratio (SPR)が提案されています(文献[1])。SPRは音声を周波数成分に変換して、0~2kHzの最も強い振幅と、2~4kHzの最も強い振幅の比率をとったものです(2kHzはピアノの2番目に高いドの音)。つまり、SPRが大きいほど、音域が広く歌唱力があると判断されます。確かに、弓場メソッドでも「ぬりかべ~」「きたろ~!」と喉の筋肉を鍛えて音域を広げることを重視されていたような。音域は歌唱力評価の1つのキーになりそうです。

一方で、SPRが高ければよい歌手だと言えるのか、というとそうでもないようです。例えば、文献[2]では、クラシック歌手に対して以下の実験をしています:(1)喉を開いて歌う(一般的により良い歌声になると言われている歌い方)、(2)喉をあまり広げずに歌う。プロのリスナーが聞くと当然ながら(1)の評価が高かったのですが、SPRは必ずしもそうではなかった。ただし、SPRが低いとプロの評価も悪かったそうです。歌う環境や条件が異なるとなかなか客観的な評価は難しそうです。

さて、ここで冒頭のカラオケの話に戻ります。昔のカラオケの採点は、楽譜の音程と歌っている音程が一致しているかどうかをシビアに比較していたそうです(音程が外れると点数が引かれる減点方式)。しかし、人が感じる唄の上手さとスコアが違うということで、採点方法もどんどん進化してきました(文献[3])。音程だけでなく、ビブラート(単なる音ずれとは区別してビブラートだけを抽出)による加点なども考慮されています。あとは声量とかでしょうか。詳細は不明ですが、やはり算出されたスコアに納得する人、しない人がいたのではないでしょうか。

技術的なところは向上しつつも、やはり音楽の複雑さ・奥深さを十分に理解するところまでは到達できていないし、今後もできないのではないかという気がしてきます。声量やビブラートは歌い手の歌の解釈や表現したい世界で変わりますし、聞き手の感受性も違いありますし。うーん、難しい!!(その難しさゆえか、客観的評価でググっても論文のヒット少な目でした)

音痴な人の戯言でした。駄文にお付き合い頂きありがとうございました。

参考文献

  1. Omori, K., Kacker, A., Carroll, L. M., Riley, W. D., & Blaugrund, S. M. (1996). Singing power ratio: Quantitative evaluation of singing voice quality. Journal of Voice, 10(3), 228- 235.
  2. Kenny D. T., Mitchell, H. F (2007). Vocal quality in female classical singers: The role of acoustics, perception and pedagogy, Proc. CIM07 – Conference on Interdisciplinary Musicology.
  3. (特開2008−15212)音程変化量抽出方法、ピッチの信頼性算出方法、ビブラート検出方法、歌唱訓練プログラム及びカラオケ装置