[Papa Column] 歌い聞かせとは

久しぶりの投稿になります。今回は息子が幼稚園に入学したこともあり、歌い聞かせ(読み聞かせ)の効果に関して調べてみました。いつも思い付きで書き始めるので、テーマに一貫性がなくて申し訳ないです・・・

妻が仕事の稽古のために、家で「はらぺこあおむし」の歌を練習することがあります。楽しく軽快なリズムなので耳に残ります。息子に「水曜日に食べたものなに?」と聞くと、「すもも」と即答します。絵本も寝る前に読んでいますが、音楽がついてた方が覚えやすいのかな~?と感じて、今回調べてみました。

するとちょうど、「はらぺこあおむし」での実験を見つけました[1]。幼児に「はらぺこあおむし」を読み聞かせした場合、歌い聞かせした場合の違いを評価されています。(1)絵本に対する集中力→歌があった方が絵本に集中した。(2)絵本に対する興味・関心→読み聞かせ時は先生や友達とその内容を発言しながら聞いていた、歌い聞かせ時は発言は少ないが、音楽が鳴り出す、曲調が変化する間奏部分でより関心が強まった。(3)印象に残った場面を絵に書いてもらうと→読み聞かせ時は絵本の中の印象的なイラスト(蝶など)が多い、歌い聞かせ時は音楽の流れ始めや曲調が変わった画面を書くケースが増加。(4)物語の内容理解の差異はなし。結論として、同じ絵本でも読み聞かせ・歌い聞かせで幼児の受けるイメージが異なり違った楽しみ方ができること、目的に応じて使い分けること(読み聞かせは幼児間・幼児先生間の合いの手を楽しむ、歌い聞かせはより強く集中して言葉とイメージの結びつき、リズムを楽しんでもらう等)を述べられています。

早期音楽教育が脳にどのような影響があるか、は昔から議論の的になっていますが詳細なところはよくわかりません。しかし、言葉のリズム・イントネーションが音楽のリズムと一致していると歌を覚えやすい[2]、子供は年齢に応じた固有のリズム感をもっていて、それと同調するリズムにより躍動し、違うリズムに面白さを感じながら、他者とその感性を共感して成長する[3]、ということが述べられています。

このように、歌い聞かせは推奨されてはいるもののまだ十分に広まっていないようです。その理由の一つはメロディのある絵本が少ないこと。私は「はらぺこあおむし」しか知りませんでしたが、他にもいくつかあるようです[4][5](私自身は一般的な童謡と歌い聞かせ用の絵本の明確な違いはまだよくわかっていませんが・・・。童謡は物語をかなり省略しているから除外されているのかな?)。二つ目として、歌い聞かせができる人材や研究活動の不足が挙げられそうです。保育園や幼稚園の採用試験では、ピアノ実技は80%程度実施されているのに対して、弾き歌いが30%程度、絵本の読み聞かせは15%程度と思われます[6]。読み聞かせは歴史が古く、各園で教育方針に沿った絵本がすでにリスト化されているのではないでしょうか。一方で、歌い聞かせはまだまだこれから研究が必要な部分で、なおかつ、園の先生方は毎日本当に多忙な日々を過ごされていることと思いますので、音楽教室としてなにかお手伝いできるところがあればいいなと感じました。

 

参考文献

  1. 石田優子, 保育場面における絵本の歌い聞かせの効果, 愛知教育大学卒業研究 (2016).
  2. 村松良衣, 幼児が歌を覚える過程についての一考察 ―幼児の音楽的要素に対する興味を手がかりとして―, 愛知教育大学卒業研究 (2016).
  3. 古市久子, 絵本がもつリズム性がこどもに与える教育的意味, 東邦学誌, 41(1) (2012).
  4. 親子でたのしく歌おう!歌い聞かせにぴったりな、歌つきの絵本, http://ehon-like.com/archives/483
  5. 絵本にメロディがついた♪無料で楽しめる名作歌絵本6選!, https://mamanoko.jp/articles/12148
  6. 衣川久美子, 山﨑和子, 由井敦子, “幼稚園・保育所(園)・小学校の採用試験における 音楽に関する出題傾向 ──総合子ども学科 2011 年~2014 年の求人票の経年分析と就職状況──”, 甲南女子大学研究紀要. 人間科学編, 52 , pp.59 – 78 (2016).

[Papa Column] 歌唱力の客観的評価

ご無沙汰しております、第3回のパパコラムです。今回は、「歌唱力の客観的評価」というテーマです。

まず最初に、私は音痴で、音程がずれていることに自分では全く気づきません(涙)。結婚するまで音楽とは無縁の人生を歩んできましたから。以前テレビで、関ジャニのカラオケ対決を見た時に、よくこれだけ上手に歌えるものだと感心したものです。番組では最後にスコアが表示されて勝敗が決まります。このスコアってなに?ってことで調べてみました。

歌唱力の客観的な指標として、Singing Power Ratio (SPR)が提案されています(文献[1])。SPRは音声を周波数成分に変換して、0~2kHzの最も強い振幅と、2~4kHzの最も強い振幅の比率をとったものです(2kHzはピアノの2番目に高いドの音)。つまり、SPRが大きいほど、音域が広く歌唱力があると判断されます。確かに、弓場メソッドでも「ぬりかべ~」「きたろ~!」と喉の筋肉を鍛えて音域を広げることを重視されていたような。音域は歌唱力評価の1つのキーになりそうです。

一方で、SPRが高ければよい歌手だと言えるのか、というとそうでもないようです。例えば、文献[2]では、クラシック歌手に対して以下の実験をしています:(1)喉を開いて歌う(一般的により良い歌声になると言われている歌い方)、(2)喉をあまり広げずに歌う。プロのリスナーが聞くと当然ながら(1)の評価が高かったのですが、SPRは必ずしもそうではなかった。ただし、SPRが低いとプロの評価も悪かったそうです。歌う環境や条件が異なるとなかなか客観的な評価は難しそうです。

さて、ここで冒頭のカラオケの話に戻ります。昔のカラオケの採点は、楽譜の音程と歌っている音程が一致しているかどうかをシビアに比較していたそうです(音程が外れると点数が引かれる減点方式)。しかし、人が感じる唄の上手さとスコアが違うということで、採点方法もどんどん進化してきました(文献[3])。音程だけでなく、ビブラート(単なる音ずれとは区別してビブラートだけを抽出)による加点なども考慮されています。あとは声量とかでしょうか。詳細は不明ですが、やはり算出されたスコアに納得する人、しない人がいたのではないでしょうか。

技術的なところは向上しつつも、やはり音楽の複雑さ・奥深さを十分に理解するところまでは到達できていないし、今後もできないのではないかという気がしてきます。声量やビブラートは歌い手の歌の解釈や表現したい世界で変わりますし、聞き手の感受性も違いありますし。うーん、難しい!!(その難しさゆえか、客観的評価でググっても論文のヒット少な目でした)

音痴な人の戯言でした。駄文にお付き合い頂きありがとうございました。

参考文献

  1. Omori, K., Kacker, A., Carroll, L. M., Riley, W. D., & Blaugrund, S. M. (1996). Singing power ratio: Quantitative evaluation of singing voice quality. Journal of Voice, 10(3), 228- 235.
  2. Kenny D. T., Mitchell, H. F (2007). Vocal quality in female classical singers: The role of acoustics, perception and pedagogy, Proc. CIM07 – Conference on Interdisciplinary Musicology.
  3. (特開2008−15212)音程変化量抽出方法、ピッチの信頼性算出方法、ビブラート検出方法、歌唱訓練プログラム及びカラオケ装置

[Papa Column] 音楽に関する学会

第2回となるパパコラム。今回は、「日本 音楽 学会」でGoogle検索して、どんな学会があるのか調べてみました。
思ったよりもたくさんあって、個別にどこがどう違うかまでは調べるのが大変そうなので、今回はリストアップだけ…。あと、楽器ごとに細かい学会があったりとかします。音楽は歴史が古いので研究はやりつくされているのかな、と思っていましたが全然活動的ですね。時代の風潮や楽器や実験器具の進展に伴って、いろいろな変化があるためでしょうか(悪く言うと、主観評価は時代の流れによって変わるので、普遍性が乏しく、研究の寿命が短いともいえる?)。今後気になった記事があれば紹介してきたいと思います。

  • 日本音楽知覚認知学会
  • 日本音楽学会
  • 日本音楽教育学会
  • 日本ポピュラー音楽学会
  • 日本音楽表現学会
  • 日本音楽即興学会
  • 日本音楽芸術マネジメント学会
  • 日本音響学会(音楽音響研究会)←個人的にはこの研究会面白そう、例えば2015年8月の研究会では以下のような研究発表がありました。
    • アニメ映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の音楽の用いられ方について
    • 笑いを演出する映像に付加するシンボリックな音楽の最適な挿入タイミング

以下のものは、どちらかというと医学系

  • 日本音楽療法学会
  • 日本音声学会
  • 日本音声言語医学会
  • 日本聴覚医学会
  • 日本耳鼻咽喉科学会

[Papa Column] 声道形状計測

本投稿がパパコラム初めての投稿となります。パパは音楽の知識が乏しく、楽譜もろくに読めません。が、理科系の視点から音楽の側面に触れて記事を書いていきたいと思います。気軽に楽しんでもらえると幸いです。

今回のトピックは声道の計測方法に関して。声って何気なく出してますが、意外と複雑。息をはく量、息つぎ、のどや口の形の調整に、声帯の振動など。それと、一人一人声って違いますよね、これは口からのどにかけた部分(これが声道、声が出る道ってうまい表現ですね)の構造がみんな違うためだとか。兄弟で声が似るのも、骨格が似てるっていうのが大きいかもしれませんね。

では、自分の声道形状がわかれば、自分に適した発声方法がわかるんではないか!?と思うのですが、なかなか難しいようです。伝統的な声道形状を知る方法は内視鏡です。確かに形はわかるけど、ファイバーを口や鼻に突っ込んだ状態ではうまく声が出せないので、発声しているときの構造はわからない。そこで最近はMRIが利用されているようです[1]。MRIは、健康診断とかで臓器の断層像を取るときによく使われる装置ですね。声を出している時の像を撮影して、声道の形や歯の並びを計測するようです。きれいな像を取るためには、同じ音を15秒間出さないといけなかったり、何度も同じ音の発声を繰り返さないといけなかったり、なかなか実験は大変そうです。少なくとも音痴の私には同じ音の発声は無理そうです(涙

もっと画質をあげたり、できるだけ手軽に実験できるように工夫したり課題はありそうです。しかし、声道形状がわかれば、先に述べたように、自分に適した発声方法もできそうだし(海外の論文で、オペラ歌手と一般人の声帯形状を比較したものもあるようです)、これから流行るであろうロボットの発声に関しても技術革新が期待できそうですね。

参考

  1. 竹本浩典, 北村達也, “MRIに基づく音声生成の研究手法の概要”, 電子情報通信学会誌, 94(7), pp. 585–590, 2011